「LPを作ったのに効果がわからない」——計測の設計不足が改善を止めている

「ランディングページを外注して公開したけど、問い合わせが増えたのか減ったのかよくわからない」

Web担当を兼務している方から、こんな相談をいただくことがあります。アクセス解析ツールは入っている。GA4のタグも設置済み。でも「LP経由のコンバージョンがどのくらいあるか」と聞かれると、はっきり答えられない。

原因の多くは、LPの効果測定に必要なイベント設計が不足していることにあります。

GA4をデフォルト設定のまま使っていると、取得できるのはページビュー、セッション数、直帰率くらいです。これだけではLPのどこに問題があるのかを特定できません。「ファーストビューで離脱しているのか」「フォームまでは到達しているのに入力を諦めているのか」「CTAボタンがそもそもクリックされていないのか」——こうした改善に直結する情報は、カスタムイベントを設計して初めて見えるようになります。

この記事では、LP効果測定のためのGA4イベント設計を5つのステップで解説します。GTMでの実装方法と、Looker Studioでのレポート構築まで一気通貫で扱いますので、来週から自社のLPに適用できる状態を目指してください。

GA4のデフォルト設定では何が「見えていない」のか

GA4には自動収集イベントと呼ばれる仕組みがあり、ページビュー(page_view)やスクロール(scroll)などは設定不要で記録されます。GA4のイベントの仕組みについて公式ドキュメントで詳しく解説されていますが、ここで問題になるのは自動収集の粒度です。

たとえば、スクロールイベントは「ページの90%地点に到達した」タイミングで1回だけ発火します。LPにとってこの仕様は致命的です。「50%地点のサービス説明まで読まれているか」「70%地点の料金表は見られているか」がわからないからです。

同様に、ボタンクリックはデフォルトでは拡張計測機能の「離脱クリック」として外部リンクのクリックだけが記録されます。LP内のCTAボタン(お問い合わせ、資料請求など)のクリックは追跡されません。

つまり、GA4をそのまま使うだけでは「人が来ている」ことはわかっても、「何をして帰ったか」がわからない状態です。LP改善の判断材料としてはまったく不十分と言えます。

LP効果測定に必要な5つのカスタムイベント

LPの改善サイクルを回すために、最低限設計すべきカスタムイベントは次の5つです。

1. スクロール深度の段階的な計測

デフォルトの90%しきい値ではなく、25%・50%・75%・100%の4段階でスクロール到達を記録します。

このイベントにより、LPのどのセクションでユーザーが離脱しているかが明確になります。たとえば「25%→50%の離脱が大きい」場合、ファーストビュー直下のコンテンツに問題がある可能性が高いとわかります。

イベント名の例は scroll_depth とし、パラメータに percent(25, 50, 75, 100)と page_location を含めます。GA4の推奨イベント一覧にはスクロール深度の段階的計測は含まれていないため、完全なカスタムイベントとして実装する必要があります。

2. CTAボタンのクリック追跡

LP内のコンバージョンポイント(「お問い合わせはこちら」「資料をダウンロード」「無料で試す」など)のクリックを個別に計測します。

イベント名は cta_click とし、パラメータに button_text(ボタンのラベル)、button_position(header / middle / footerなど配置場所)、destination_url を含めます。

CTAが複数あるLPでは、どの位置のボタンがもっともクリックされているかが重要なインサイトになります。「一番下の料金表の直後にあるボタンが最もクリックされている」とわかれば、同様のCTAを他の位置にも配置する判断ができます。

3. フォームの入力行動(開始・フィールド離脱・送信完了)

フォームの「表示」と「送信完了」だけでなく、入力開始途中離脱を計測することで、フォーム内のボトルネックを特定できます。

設計するイベントは3つです。

  • form_start ——フォームの最初のフィールドにフォーカスが当たったとき
  • form_field_abandon ——入力開始後、送信せずにページを離脱したとき。パラメータに last_field(最後に入力したフィールド名)を含める
  • form_submit ——フォーム送信が完了したとき

「メールアドレスまでは入力するが、電話番号フィールドで離脱する人が40%いる」といったデータが取れれば、電話番号を任意項目に変更するという改善案が即座に出てきます。フォームのUI設計については、UXデザインの専門ポータルによる解説記事も参考になります。

4. 外部リンク・電話番号タップの計測

LP内に設置した外部リンク(SNS、Google Maps、電話番号のtelリンクなど)のクリックを追跡します。特にスマートフォンからのアクセスが多いLPでは、電話番号タップがコンバージョンの重要な経路になっている場合があります。

イベント名は outbound_click とし、パラメータに link_urllink_text を含めます。電話番号タップは tel_tap として別イベントにすると分析しやすくなります。

5. 滞在時間のしきい値計測

GA4のデフォルトの「平均エンゲージメント時間」は、セッション全体の平均値であり、LP単体での滞在行動を正確に反映しません。

そこで、LP上で30秒・60秒・120秒が経過した時点でイベントを発火させます。イベント名は time_on_page とし、パラメータに seconds(30, 60, 120)を含めます。

「60秒以上滞在しているユーザーのCV率が3倍高い」といった相関関係が見つかれば、60秒以上の滞在を促すコンテンツ改善(動画の追加、事例の充実など)に投資すべきだという判断ができます。

GTMを使ったイベント実装の手順

上記5つのイベントは、Google Tag Manager(GTM)を使って実装するのがもっとも効率的です。コードを直接編集する必要がなく、マーケティング担当者でもメンテナンスできます。

トリガーの設計

GTMでは「トリガー」がイベント発火の条件を定義します。上記5つのイベントに対応するトリガーは次のとおりです。

スクロール深度トリガー ——GTMには「スクロール深度」トリガーが標準で用意されています。「割合」を選択し、25, 50, 75, 100を指定するだけで段階的な計測が可能です。発火条件として「Page Path が /lp/ で始まる」などのフィルタを加えれば、LP以外のページで不要なイベントが発火することを防げます。

CTAクリックトリガー ——「クリック - すべての要素」トリガーを使い、CSSセレクタまたはdata属性(例: data-cta="true")でCTAボタンを特定します。開発チームにCTAボタンへのdata属性付与を依頼しておくと、将来ボタンのデザインが変わってもトリガーが壊れません。

フォームトリガー ——フォーム開始は「要素の表示」トリガーでフォーム要素の表示を検知するか、カスタムJavaScriptでフォーカスイベントを拾います。送信完了は「フォーム送信」トリガーを使います。途中離脱は beforeunload イベントとフォーム入力状態の組み合わせで実装します。

タグの設計とカスタムディメンション登録

各トリガーに対応するGA4イベントタグを作成します。タグの種類は「Google アナリティクス: GA4 イベント」を選択し、イベント名とパラメータを設定します。

パラメータ名はGA4のカスタムディメンションとして登録する必要があります。GA4の管理画面で「カスタム定義」から「カスタムディメンションを作成」に進み、button_textbutton_positionpercentlast_field などをイベントスコープで登録してください。

この登録を忘れると、イベントは発火してもパラメータの値がレポートに表示されません。 よくあるトラブルなので、イベント設計と同時にカスタムディメンションの登録も済ませることをお勧めします。

Looker Studioでレポートを構築する

イベントの計測基盤が整ったら、Looker Studio(旧Googleデータポータル)でダッシュボードを構築します。週次のLP改善ミーティングで画面を開くだけで現状把握ができる状態を目指しましょう。

ダッシュボードの推奨構成

ページ1: サマリー

LP全体のセッション数・ユーザー数・CV率の推移を折れ線グラフで表示します。流入チャネル別のCV率比較を棒グラフで並べ、主要KPIは今週と先週の比較をスコアカードで表示します。この1ページだけで「今週のLPは調子がいいか悪いか」が10秒でわかる状態を作ってください。

ページ2: ファネル分析

スクロール深度ファネル(25%→50%→75%→100%の到達率)とフォームファネル(表示→開始→完了の3段階)を可視化します。各段階の離脱率を数値で表示し、前週比を色分けすることで、改善・悪化のポイントが一目でわかるようになります。

ページ3: CTA・インタラクション詳細

CTAボタン別のクリック数とCVへの貢献度、電話番号タップ数の日別推移、滞在時間セグメント別のCV率を表示します。LPの表示速度がパフォーマンスに影響するケースも多いため、Core Web Vitalsの数値も併せてモニタリングすることをお勧めします。技術的な高速化の実装方法については、テックビルドのLP高速化解説記事が参考になります。

フィルタとセグメントの活用

レポートには必ず日付範囲フィルタデバイスカテゴリフィルタ(PC / モバイル / タブレット)を設置してください。LPのパフォーマンスはデバイスによって大きく異なることが多く、「モバイルではスクロール50%で離脱が急増するが、PCでは問題ない」といったインサイトはフィルタなしでは見えません。

また、LP改善のためのA/Bテストを実施する際には、テストパターンをGTMのデータレイヤー変数として送信し、Looker Studioのセグメントとして利用すると分析が捗ります。A/Bテストの設計手法については、データインサイトの関連記事で詳しく解説しています。

計測基盤ができたら何を見るか——週次チェックリスト

イベント設計とレポートが揃ったら、週に1回、以下の3点を確認する習慣をつけてください。

確認1: ファネルのボトルネック

スクロール深度ファネルで最も離脱が大きいポイントを特定します。先週と比較して悪化しているセクションがあれば、そのセクションのコンテンツを優先的に見直します。

確認2: フォーム離脱フィールド

form_field_abandon イベントの last_field パラメータを確認し、離脱が集中しているフィールドを特定します。対策としては、フィールドの削除(本当に必要か再考)、入力補助の追加(プレースホルダー、バリデーションメッセージの改善)、順番の変更(心理的ハードルの低いフィールドを先に配置)などが考えられます。

確認3: デバイス別のCV率格差

PCとモバイルでCV率に2倍以上の差がある場合、モバイル側のUIに改善余地がある可能性が高いです。CTAボタンのサイズ、フォームの入力しやすさ、ページの読み込み速度など、モバイル特有の問題点を洗い出します。

広告経由のLPトラフィックについては、広告プラットフォーム側の計測とGA4の数値を突き合わせることで、より正確なROAS(広告費用対効果)の算出が可能になります。また、LP単体の改善だけでなく、オーガニック検索からの流入経路を開拓することで広告費を抑える戦略も有効です。SEOの専門ポータルでLP×オーガニック流入を解説した記事も併せてご覧ください。

まとめ——計測なき改善は推測に過ぎない

LPの効果測定は、GA4のデフォルト設定では不十分です。スクロール深度、CTAクリック、フォーム入力行動、外部リンクタップ、滞在時間——この5つのカスタムイベントを設計・実装するだけで、「なぜCVが低いのか」に対する仮説の精度が格段に上がります。

大がかりなツール導入は不要です。GA4とGTMとLooker Studioはすべて無料で使えます。まずは来週、CTAボタンのクリック計測だけでもGTMに追加してみてください。「どのボタンが一番押されているか」がわかるだけでも、次の改善アクションが具体的になるはずです。